画聖雪舟が禅の世界をお庭で表した「雪舟庭園」その世界観を世に広める目的で
作られた信仰心と心魂から生まれ出た陶器です。
昭和24年、作家・田畑修一郎氏の発案により、益田文化人協会「家根原宗寿(医光寺26世)
キムラフジオ(ザツボクリン主宰)に呼ばれ、医光寺境内の一部に窯を築いたのがはじまりです。
その後窯を移築し、初代・二代目共に島根の地で陶器作りに邁進し、
内閣総理大臣・黄綬褒章や徳川夢声市民賞の受賞作品(10年間制作)をはじめ益田競馬場特別観覧席
馬レリーフ等、数多くの作品を世に残しております。
初代 福郷 徹 ふくごう てつ
明治43年4月2日〜平成12年
明治43年4月2日 | 島根県那賀郡今市村丸原にて福郷柳助の三男として生まれる。 |
昭和6年 春 | 岡山県津山市南山焼工場、小池虎次郎商店に弟子入りし窯業に励む |
昭和9年 | 愛知県常滑町、松江嘉三郎工場に入社。土管、クリーンカ、モザイクを学ぶ |
昭和11年 | 津山市南山焼工場に復帰し、陶業に励む。華道に励み江雲斎柳甫と華名を頂く。 |
昭和24年 10月 | 津山を去り、益田市医光寺26世住職・家根原宗寿師に招かれ、10月30日、登り窯4室1基を鐘楼横に造る。 |
昭和25年 3月26日 | 初窯窯だし・ 4月30日 医光寺本堂で窯出し展・右田宗秋先生の献茶式を初窯茶盌で行う。 |
昭和26年 | 日本伝統工芸展・初出品、初入選 |
昭和32年 11月20日 | 秩父宮妃殿下に「抹茶盌」献上 |
昭和33年 5月 | 関門海底国道トンネル開通記念・世界貿易大博覧会より感謝状を受ける。 |
昭和38年 1月 | 「不徹」の号を「徹」と改称し創作。 |
昭和41年5月27日 | 島根県物産協会会長より感謝状(物産宣伝・販売開拓功労)を戴く。 |
昭和42年10月9日 | 皇太子ご夫妻に花瓶献上 |
昭和44年8月8日 | 常陸宮ご夫妻に抹茶盌献上 |
昭和45年9月13日 | 県知事より感謝状を戴く。 |
昭和50年11月3日 | 益田市長より観光事業の振興に尽くしたことにより表彰を受ける。 |
昭和53年1月23日 | 益田商工会議所会頭より感謝状(地域経済発展功労)を受ける。 |
昭和56年7月 | 昭和25年以来焚き続けた登窯の最後の火入れ。32年間で約150回火入れする。 |
昭和56年10月8日 | 島根県知事より表彰 (地域産業の発展に寄与) |
昭和57年11月17日 | 日本商工会議所会頭・益田商工会議所会頭 より表彰状 (地域経済発展功労) |
昭和58年11月1日 | 新登窯 初窯出し |
昭和58年11月3日 | 内閣総理大臣より「黄綬褒章」を受く。 |
二代目 福郷 徹 ふくごう てつ
昭和23年〜
昭和23年 | 岡山県津山市に生まれる |
昭和24年 | 家族と共に益田へ転入 |
昭和42年 | 京都府立陶工職業訓練所入所 |
昭和43年 | 京都府宇治市 「朝日焼」十四世 松林 豊斎 氏師事 |
昭和46年 | 備前焼 伊勢崎 満 氏 師事 |
昭和47年 | 訪台視察 |
昭和47年11月 | 群馬県 上越クリスタルガラス・倉田クラフト・特別研修生として入所 |
昭和48年4月 | 帰省し、父について制作始める。二代目不徹(ふてつ)襲名 |
昭和49年6月 | ガス窯を築窯 |
昭和49年秋 | 鳥取・島根友好訪中団として中国研修 |
昭和54年 | 石見陶器組合訪韓視察 |
昭和58年7月 | 登窯を自宅裏に移築 |
平成6年 | 島根県優秀専門技能者に認定される |
平成11年5月 | 益田市営競馬場特別観覧席 (馬レリーフ制作)完成 |
平成12年3月 | 開窯50周年記念展(工房)京都より茶道の師匠武田宗夏先生を迎え、医光寺にて献茶式を行う。 7月3日 初代徹 逝去 |
平成13年3月 | 二代目「不徹」を改め 二代目「徹(てつ)」を襲名 |
平成14年 | モンゴル・島根県友好陶芸展出品 |
平成16年 | 慶尚北道・島根県交流美術展出品 |
職歴 | 島根県工芸連盟理事 島根県総合美術展審査員 島根県陶器振興会前副会長 益田市特産品協会前会長 |
師匠 | 渡辺拓田(書道) 篠田正元(水彩画・日本画 加賀羅聡(洋画) 武田宗季(茶道)京都 |
雲模様
雪舟焼に施されている模様は空の雲(飛び雲・うろこ雲)が多く、雪舟さんが修行されている姿(雲水)にイメージを重ね、とらわれない心、こだわらない心・自由な姿を現しています。
作りと雰囲気
雪舟焼窯元がある石見地方は石見焼や瓦が有名ですが、水瓶から発達した石見焼のがっちりとた生活道具というイメージに対して、雪舟焼は割りと薄作りで繊細なイメージが特徴で他のどこにも属さない独自の雰囲気が魅力です。
雪舟焼の古陶磁を偲ばせる侘びた味わい・・・
それは職人による確かな技術から産み出されます。
土選びに始まり、土つくり、成形、素焼き、釉薬調合(地元原料・益田長石)、絵付け、
窯焚き、など一つ一つの工程にこだわり、静かな中に華やかさのある和陶器を表現します。
土次第で作品の表情や仕上がりが変わります。
花生け・抹茶盌など作品によりそれぞれの味わいにふさわし
い土を使い、逸品ものには10年から20年土倉でねかせバク
テリアや微生物の働きで、ねばり・輝きがでるように熟成をさ
せた土を使います。
陶器の個性を決める造形。
土練り(菊練り)からはじまり、轆轤成形、寸法を揃える時
にはトンボと言う竹で出来た昔ながらの道具を使い一つ一つ
手作業で丁寧に作品を造り上げて行きます。
筆書きで一つ一つ絵付けします。
書道用の筆も使いますが、面相筆も色ごとに多く使っていて、
筆は一色に1本を使い混ぜません。
また釉薬(ゆうやく)は地元である益田長石・硅石の原料を
使うことでこの地方独特の表情を生み出しております。
作品に合わせて窯を使い分けます。
雪舟焼窯元の特徴の一つでもある「登窯」は天候風向きに
より焼き上がりにかなり違いが出るため二つとして同じもの
はできません。変化に富んだ焼き上がりもまた雪舟焼の魅力
です。色絵の作品の場合は主にガス窯で焚きます。
登窯は赤松だけを燃料としています。
松はヤニが有るほど炎の延びが良いのですが、クロマツでは
灰が解けて(黒いそばかす状)になります。灰がきれいなビード
ロ色になる赤松を使います。